性欲という言葉が

「毒婦」よりも後に出てきたなんて意外だ。
いや、当時の通念として、女性に性欲があると思われていなかった事を
示しているから、別に意外ではないか。

毒婦の誕生―悪い女と性欲の由来 朝倉喬司 ISBN:4896916085 洋泉社 2002/02

「こっそり読みたい禁断の日本語」(これでは、河内弁で相手をどやす頁が
一番気にいっている)を書いた人の本。
東大病院に、高橋お伝の女陰が保存されてあるという項から、この本は始まる。
「淫蕩気質がアダになった」とされた彼女だが、男を殺した事件が
何がどうして、「色が元で...」と解釈されるようになったのか
簡潔にまとまっている。
当時、現在でいうところの「黒い報告書」(これが掲載されているのは、
週刊新潮だったか?)チックな記事が、憶測なのに事実として解釈されていたのか、
そしてソレが信じられてしまった背景とは。
お伝以外の女性犯罪者についても記述があり、報道姿勢など、時代の必然に
ついて想いを馳せられる本。