著者は体育会系ノンケ

高級ウリセン・ボーイ

高級ウリセン・ボーイ:俺が男に抱かれ続けた550日 杉原翔 2009.8 河出書房新社 ISBN:9784309019307

緊急に金が必要になった大学生の、一時バイト物語。
普通の売り専と違い、人を選ぶ会員制はえらく高い、とは
聞いたことはあるが、金銭に関する、具体的な話はない。
高級店らしく、名ばかりの会員制ではない、と思わせる
”フリ”というか、伏線みたいなものを感じさせる記述に、
小説のように感じたりもしたが、そこらは
読んでいくうちに、事実かどうかはどうでもよくなってくる。
客の、「君は小難しく考えなくていいんだ」という態度は、
体育会系を求める欲望は、理想的な肉体を求めてるだけでなく、
性的嗜好・思考・志向・指向・・・と連想させるように、
著者との会話で立ち上ってくる様が興味深かった。
終わりにある、著者と、売り専のマスター、著者の彼女との遣り取り
の件など、紙片がわずかなのに、余韻が見事で、
この著者の他の作品も読みたくなった。