いとうせいこう

昔、二十年くらい刑務所に入って
いた過激派が釈放された晩、俺は
出版社との打ち合わせの流れで
なぜか彼と食事をする会に合流。
その時、五百円玉を知らない
機械のように不器用に持って
じっと眺める姿にはっとした。
長い空白がリアルに迫った。
https://twitter.com/seikoito/status/304899379955908609

その人はなにしろ釈放された
その晩で帰る家もないし、もちろん
仕事も家庭もない。何も持たない人の
目はこれほど透明かと驚くほど、
ずっと奥まで澄んでいた。過去の
行為が正当かどうかは別として、
無垢そのものだった。あんな目を
見たことは以前も以後もない。
https://twitter.com/seikoito/status/304899464508878848

その釈放された人を、食事会に出ていた
ある人が養子縁組して引き取ったと
のちに聞いた(あるいはその日に聞いた
のかもしれない)。その人は親類縁者から
縁を切られてしまっていて天涯孤独だった。 https://twitter.com/seikoito/status/304899539196850176

これは読んだら胸にしまっておいて
欲しいんだけど、釈放された人は
爆弾犯の疑いで検挙されていて、
引き取った人は爆弾自殺で親を失った
人物だったと記憶する。
感慨深過ぎてボーッとする。
https://twitter.com/seikoito/status/304899613180194816

爆弾自殺で親を失った人物と聞くと、
白夜書房末井昭が浮かんでしまう。
「自殺」最終回をアップしました。
内容は……ともかく読んでいただければと思います。
http://asahi2nd.blogspot.jp/2013/06/blog-post.html
https://twitter.com/sueiakira/status/342636440464797696