裏表紙

semi2009-03-27

セケン・ムナサンヨー いとうせいこう 1992/12/10 角川書店 ISBN:404872732X

月刊カドカワ91年6月号〜92年11月号まで
連載されたものに、加筆訂正をしたもの。
装幀は東京工作クラブ。
世間胸算用の英訳を、更に日本語で訳してみた作品。
直訳する事で、前書きにもあるように、
300年前の日本 でも、間違われた日本
でもない空間を味わえた。
金の工面をする話ばかりでも、しみったれ感はない。
しみったれたエピソードは出てくるのに。
これは、現代の金額に直すと幾らか?
など解らなくても、十分楽しく読める。
神々の社会にさえ、貧富の差がある、と〆る話
(「神さえ時々間違える」)は、本筋よりも
とある神がしくじった件をエビスが喋った為に、
神社に来た人が聞いてしまい、神も
しくじる、と人間が知るようになった、と綴っているのが可笑しい。
京都の、悪口を言い交わす祭が何か?が少し気になった。
口達者な男の、言いたい放題ぶりが見ものだった。