小倉ミチヨ・相対会研究報告 (ちくま文庫)

小倉ミチヨ・相対会研究報告 下川耿史 ISBN:4480035230 筑摩書房 1999/12

明治生まれの女性なのに、子供にホリゾンだのリネアだの、凄い名前を
付けているな......。
堕胎された児が浜に流れてきたのを、小学五年生で見た話は衝撃だが、
淡々と綴られている。著者自身が堕胎手術をする為に入院した件では
堕胎後の性欲描写が、淡々と言うより素朴な気がした。
全体に素朴な文章に感じるのは、あまり推敲されていないから、だろうか。
解説にある、下川耿史の文章がないと読みにくい。
雑誌「相対」は、彼女の夫の雑誌で、出版法違反になった、などは
解説を見ないと解らない。
警視庁の家宅捜査で流産した、と告訴したり、大審院での検事局で
公文書を破いて精神病院に入れられた際、病院が決まるまでの間、阿部定の隣の
房に入れられていた話も掲載されている。