ここで紹介されている情痴小説の中の男たちは

情痴小説の研究 北上次郎 ISBN:4480036679 筑摩書房2001/10

大体が、今で言うダメンズだが
岩野泡鳴「発展」の主人公は、「時代がかった雰囲気といかめしい言い草」が
功を奏して(?)、ただの駄目男に思わせない。
例①
暴力夫だから、実子が怖がって母親の陰に隠れると
「母親のしつけが悪いな」。
②生まれてきた子を見て
「ぞろぞろと何匹出て来やがるのだ」。(...誰のせいで妊娠したんだよ)
③愛人に、女郎に使った金をとがめられ(妻と愛人だけでは、あきたらないのか)
ても、「女を買ったのは、生活上の必要だ」
④愛人の家に居る際、妻が来て、子供が危篤だと言うと
「以前にも子供を病でなくした事があるし、また死ぬだろうと思うと
全く愛着が起こらない」と考える。